表彰式を円滑に進行するには

 表彰式や授賞式を華やかに、滞りなく演出するのは、けっこう難しいものです。最も偉い人が最も活躍した人に賞状や賞品を手渡しますが、どちらも晴れの舞台で緊張し、思っても見ない事故が起こることがあります。せっかくご購入いただいた当社の製品は注目もされず、ドタバタと表彰式が終わってしまうといった事態になりかねません。表彰式をいろいろ見てきた経験上、以下の点をおさえるとスムーズな進行ができるようです。

 大相撲千秋楽の表彰式は、日本の賞状授与、記念品贈呈のスタイルを確立する効果があったと思います。天皇賜杯、優勝旗、賞状、記念品の数々がたった一人の幕の内優勝力士に次々と手渡されていきます。外国や団体からの寄贈品が増え、表彰式が延々と続きます。力士の体に合わせた大きな賞状とトロフィーの数々は見ているだけで壮観です。賞状を読むだけで場内が沸いたり、大きなカップをヨロヨロと手渡すと力士が軽々と受け取ったりする様子に驚いたりと、解説を聞きながら放送終了まで楽しんでおられた方も多いと思います。
さすがに、最近は表彰式の放送時間は少なくなったようですが、1年に6回、全国放送されますから、「表書式=大相撲」として、津々浦々で行われる表彰式に、多大な影響を与えたと思います。
海外の授賞式はおおむねあっさりとしていて、トロフィーを手渡し、握手して、おしまいというのが多いようです。 オリンピックの競技終了直後のセレモニーでメダルを授与されるのは3位までです。後から、8位まで賞状が授与され、順位、種目、名前、国籍などは記されていますが、「あなたは頭書の成績を・・・」といった本文が見当たりません。
ノーベル賞授賞式で手渡される賞状、メダルは最も有名で豪華なものです。(さらに高額な賞金もあります。) 賞状は革製のブック型で左に授章者に合わせた肉筆画、右に賞状で、メダルは18Kです。華やかなセレモニーや晩餐会などの行事もあるようです。テレビで見た限りでは、贈呈者のスウェーデン国王は閉じた賞状とケースに入ったメダルを手渡して握手して、一言あったり、なかったりで、その場でメダルを首からかけることもなく、賞状を開きさえもしません。
ごく一般的な表彰式では、受賞者より贈呈者のほうが緊張度は高いようです。校長先生や国会議員など、場数を踏んだ方々はともかく、初めて表彰を行う「会長・社長」の緊張はかなりのものです。その最大の難所が賞状の読上げです。受賞者の名前や大会の名前を間違えたり、声が裏返ってしまったり、厳粛な場ですから、なおのこと可笑しく感じます。定型的な本文の読上げなどはなるべく割愛して、「おめでとう」と握手で進行してしまってもよいのではないでしょうか。読み上げるにしても1枚だけとし、もし何件もある場合は「以下同文」を最大限に活用してよいでしょう。苦労して何枚も読み上げている最中に列席者は退屈して、隣の人と無駄話をしたりしている光景をよく見かけます。
スムーズに進行するためには、司会進行役を慣れた人に任せることが最も重要です。贈呈者も受賞者も司会者の言う通りに動くようにします。司会者は舞台ワキに陣取り、段取りや原稿を読みながら進行できるようにします。司会者も緊張するとお思いでしょうが、人ごとですから、何回か担当すれば慣れてきます。司会者は進行表を制作し、段取りを確認し、慌てず騒がず取り仕切ります。式の内容は記録(録音・録画)して、終了後すぐに修正の必要な箇所を検討しておきます。次回は前回の準備がものをいって大成功間違いなしです。
すこし大きな授賞式であれば、介添え役が必要です。贈呈者の手元に恭しく賞状やトロフィーを運び、手渡すのを助けます。受賞者は特に慣れていませんから、立ち位置や、つぎつぎに授与される賞状賞品の一時的なあずかり、記念撮影への誘導などを指示する人がいると安心です。
司会者、介添え役などの役割を決めたら、リハーサルを行うと表彰式はより安定します。トロフィーの授与にしても、どこを持つか、触ってほしくない部分はないかなどを事前に知っていないと事故が起こりかねません。その場まで受賞者のわからない場合は、主催者側だけで十分です。受賞者がまごつくのは微笑ましいのですが,贈呈者が慌てるのは歓迎されないのです。トロフィーなどを手渡す時に、「しっかり持って」、「重いよ」とか「大事にしてくれ」など贈呈者の一言が出ると会場が盛り上がります。リハーサルがあってこその余裕が、気の利いた言葉と態度にあらわれます。
当社でご用意いただいた商品が脇役としてキラリ光る名演技を見せ、主役である皆様を眩しいばかりに輝かせる表彰式が実現することを願っています。